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公認会計士に数学は必要?
短答や論文の試験に合格して取得できる公認会計士は、難関資格の一つとして知られています。公認会計士試験は経理や税務・財務、法務などの幅広い知識が必要になる国家試験ですが、ここでは「数学」に焦点をあて数学を学習する必要性について解説します。
公認会計士になるために必要な数学の知識は?
数学と一言でいっても学習のレベルはさまざまであり、初歩的なものから学者や研究者に必要な本格的な知識・計算技術までの段階があります。結論からいうと公認会計士資格の取得に関して、直接的に数学の知識が必要になることはほとんどありません。加減乗除という基礎的な知識が身に着いていれば問題ないといえるでしょう。
理由としては公認会計士試験においては「数学」という科目が存在するわけではなく、微分積分・ベクトル・微分方程式などといった高度な数学力を前提とした設問がなされることはないからです。税理士や公認会計士と聞くと数字に関するプロフェッショナルのイメージを持つ方がほとんどのため意外かもしれませんが、高校卒業程度の数学知識であっても公認会計士資格の取得は不可能ではありません。
公認会計士試験のうち短答式試験の試験科目は「財務会計論」「管理会計論」「監査論」「企業法」の4科目であり、論文式試験は「会計学」「監査論」「租税法」「企業法」「経営学・経済学・民法・統計学のうち受験者が選択する1科目」の計5科目です。従って、直接的に数学の知識や計算技術を問われる科目はありません。
しかし数学の知識があれば業務がスムーズになることも
前述の通り、公認会計士試験において数学の知識や計算技術などが問われる受験科目はありません。しかしこれは「数学の知識や計算技術があっても無駄・意味がない」ということではありません。数多くの設問の中には、数学の知識や感覚があった方が解きやすい・理解しやすいようなものがあり、場合によっては自身の知識が回答に対してプラスに働くことがあるのです。
統計学の知識があれば高度な分析も可能
公認会計士試験にある受験科目のうち、「統計学」や「経済学」については数字に関連する問題や計算が必要になる問題があり、数学の知識やセンスがあった方がよい場合もあります。特に統計学の知識については現場実務に役立つことがあり、企業分析や経営状況の分析、マクロ環境の分析がスムーズに行えるようになる可能性があります。公認会計士は数字を中心に取り扱う士業ですので、数学的知識はマストでなくとも「あった方がいい」と言えるでしょう。
数学よりも必要な知識について
数学に関する知識や技術がなくても公認会計士を目指せるというのはここまで説明した通りですが、他にどのような知識が必要になるでしょうか。受験科目に関する内容など直接的に必要となる知識はもちろんありますが、それ以外にも必要となる知識や知見があります。
語学は大事
公認会計士試験において数学よりも圧倒的に大事であると言われるものが「語学」です。問題文を適切に読み取れる日本語力という意味においてももちろん必要ですが、近年は国際的に活動する企業が増えていることから外国語も含めた語学力を求められるシーンが増えてきています。外資系企業の担当となった場合やIFRSなどの海外向け会計基準の理解など、さまざまな場面で語学力を求められることとなります。最近では社内の公用語を英語にしてしまう企業もあるなど、英語が話せることを前提とした仕事も多くなってきています。
試験だけではなく実務も見据えて勉強を
数学力も語学力も公認会計士資格取得にはマストではないと紹介しました。しかしながらどちらも知識やスキルとして備わっていて損はないということと、実務の場面を想定した時にはそれらが活きる場面は多くあるでしょう。そのためまずは「試験に受かるための勉強」をすることになると思いますが、並行してもしくは合格してからでも「実務で役に立つ勉強」もしていく必要があります。資格取得後に自分が思い描くキャリアパスを考え、必要な学習を行うようにしましょう。