公開日: |更新日:
公認会計士試験の免除制度
このページでは、公認会計士試験の免除制度について詳しく解説しています。
免除制度とは
公認会計士の免除制度とは、通常の試験を受けずとも公認会計士としての資格を取得できる制度です。具体的には「短答式試験免除」と「論文式試験免除」という2つの免除制度が用意されており、それぞれによって免除される試験の内容や制度を受けられる条件が異なります。
なお、いずれの免除制度を利用する場合も事前に申請しておかなければなりません。
短答式試験の免除制度
短答式試験の免除制度とは、短答式試験を受けずに論文式試験から公認会計士の資格試験を始められる制度です。短答式試験へすでに合格している人が試験の全科目を免除されたり、受検者の保有資格や学歴によって試験の一部または全部が免除されたりします。
試験の全部免除になるケースとしては、学歴が一定基準以上で、司法試験の合格者か旧司法試験の2次試験の合格者が適応されます。
一部免除になるケースは、受検者が税理士資格を持っている人が一定以上の成績を収めている場合や、会計大学院で所定の科目に関する研究の修得・修了証明書を提示できる場合、さらに内閣府令で定められている法人で会計事務の実務経験を7年以上積んでいる場合などです。
論文式試験の免除制度
論文式試験を免除される条件としては複数のものがあります。
例えば、大学などの教育機関で3年以上、商学に属する科目の教授職や准教授職に就いていた場合や、博士号を取得していた場合、会計学と経営学について免除されます。あるいは同条件で法学に関する科目に属していた場合、企業法と民法が免除されるといった形です。
この他にも、不動産鑑定士試験の合格者や司法試験・旧司法試験の合格者、弁護士資格の取得者、さらに公認会計士・監査審査会から実務経験について能力等を認めた場合など、様々なケースが想定されますので、詳細は「公認会計士・監査審査会」の公式サイトで最新情報をご確認ください。
試験免除の申請手続き方法
いずれの免除制度についても、必ず事前に申請手続きを完了させておかなければなりません。
申請手続きは書面だけでなく公式サイトを通じてオンラインからも行える上、条件を認められれば「公認会計士試験免除通知書」が送付されてきます。なお、書面申請に必要な書類(公認会計士試験免除申請書)は公式サイトからダウンロード可能です。
公認会計士試験の免除制度を利用する際の注意点
免除制度を利用するためには審査に通る必要がある
免除制度は基準条件に該当していなければ利用することができません。そのため、申請を行った後で改めて基準を満たしているか審査が行われます。
審査には時間がかかることもあり、研究内容などについて確認の連絡が来ることもあるので、時間に余裕を持って申請するようにしてください。
免除制度には「有効期限」がある?
公認会計士試験免除通知書そのものに有効期限はありません。ただし、事前に一部の短答式試験や論文式試験に合格していた人が該当科目を免除される場合、有効期限は2年間となります。
2年経過後は改めて全ての試験を受験しなければならないため、受験のタイミングや申請時期などに注意してください。
公認会計士試験の免除制度を利用するメリット
ほかの科目の勉強時間が増える
受験科目が減ることで、残りの科目へ勉強時間を集中できることはメリットです。また、精神的にも負担を軽減できるでしょう。
公認会計士試験の免除制度を利用するデメリット
平均点が下がる可能性がある
免除制度のデメリットとして、試験の平均点が下がって合格率が低下するケースが挙げられます。
公認会計士の試験は全科目の総得点によって合否判定され、免除科目については「平均点」が適用されます。つまり、免除科目について全体の平均点が下がった場合、受験科目が不得意な分野であれば、総得点も下がって結果的に合格率が低下してしまう恐れもあることがデメリットです。
公認会計士試験の免除制度は利用すべき?
例えば免除される科目が自分にとって得意分野で、明らかに平均点を上回る自信のある人にとって、必ずしも免除制度が有利になるとは限りません。一方、短答式試験の全部が免除されたり、論文式試験の苦手分野が免除されたりする人は、積極的に制度を活用すべきでしょう。
また、得意分野が免除される場合でも、勉強時間を残りの科目へ集中することで結果的に全体的な実力を伸ばせる可能性はあり、一般的には免除制度を利用する方が有利と考えられています。