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公認会計士試験と年齢の関係
超難関の公認会計士試験。若い世代の受験者が多く、合格者も20代が多いとされていますが、試験と年齢にはどのような関係があるのでしょうか。合格者の年齢層やキャリア形成の観点から、公認会計士試験と年齢の関係を紹介します。
公認会計士試験に「年齢制限」はない
公認会計士の試験には年齢制限はありませんので、何歳になっても資格の取得を目指すことができます。実際に、毎年50代や60代の方が試験に合格し資格を取得しています。社会人として経理部で長いあいだ会計を担当してきた方など、これまでの知識と経験を生かしたり、キャリアアップのために受験する方も多くいます。
公認会計士試験合格者の年齢層
受験資格に年齢制限はないと言っても、受験者は若い世代の方が多いようです。平成30年度の試験の受験者の平均年齢は25.0歳となっています。やはり、若いうちに資格を取得しようと考える人が多く、また、若い方のほうが勉強に費やす時間を確保しやすいという理由が考えられます。
実際の公認会計士試験の合格者を年代別に見てみると、平成30年度の試験の合格者のうち約6割は20代でした。また、願書を提出した方に対する合格者数の割合が高いのも20代なので、合格者が多いだけでなく、合格率そのものが高いという実情が分かります。
しかしながら、20代の合格者数に次いで30代の合格者数も多く、40代以上でも合格されている方はいますので、年齢だけで試験を諦める必要はありません。50代の方でも、8名の合格者がいますので、中高年の世代で試験を受けようと考えている方でも、明るい希望を持って試験にチャレンジしていただきたいです。
若いほうが合格しやすい?
公認会計士の資格を取得するには、長い時間がかかります。勉強にもある程度まとまった時間が必要な上に、もし合格したとしても、2年以上の業務補助経験を積んだのち、年に1回実施される終了考査に受かることで、公ようやく公認会計士として登録することができるのです。最短でも、3~5年ぐらいの期間が必要となるので、少しでも若い時に試験に合格しておこうと考える方が多いのでしょう。
また、超難関の公認会計士試験ですから、簡単に合格することができず、なかなか合格できないために途中で諦めてしまう方も少なくありません。このような背景も相まって、受験者の年代が若くなっているのです。
合格後のキャリア形成と年齢の関係
未経験だと年齢が若いほうが有利
試験に合格して資格を取得したら、次は就職活動が待っています。今の会社に不満を持って資格取得を目指した方や、資格を取得することでステップアップしたいと思って公認会計士試験に挑戦した方など、それぞれ希望を持って試験合格を目指したことでしょう。
しかしながら、20代後半で会計事務所へ就職活動をする場合、まったくの業務未経験ですと、採用されるのがやや難しくなるのが実情です。前職で財務や経理部門で働いていた経験があれば年齢を問われることはありませんが、まったくの別業界から会計事務所へ転職する場合は、かなり厳しいと考えていたほうがいいでしょう。
試験に合格したからといって、即戦力として働くことができるようになるまでには時間が掛かりますので、年齢が上がるほど就職には不利に働いてしまうことは覚えておいてください。
大手監査法人への就職は「30代前半まで」が現実的
難関の試験を合格し公認会計士の資格を取得したのですから、大手の監査法人で経験を積みたいと考える方も少なくありません。しかしながら、大手監査法人ですと、毎年有能な資格取得者が求人に殺到しますので、やはり、将来性があり人材育成のしやすい若い方を採用する傾向にあります。
また、働く方としても、年齢が上がるほどに出世へのスピードも遅くなりますし、自分よりも年下の上司のもとで働くのは、環境的にもベストとは言い切れません。会計や経理の仕事が未経験で、大手監査法人への就職を目指すという場合には、やはり30代前半までが現実的と言え、それ以上の年齢の方においては、なかなか採用されにくいという事実を理解しておく必要があります。
公認会計士として独立したいなら年齢は影響なし
公認会計士の資格を取得すると、独立して開業する道もあります。監査法人に就職となると年齢で採用されにくいということがありますが、独立して働く場合には、自身でクライアントを開拓すればいいので、年齢が問題になることはあまりありません。
たとえば、企業にて経理部の経験を長く積んだ方であれば、経理部と公認会計士の両方の面からクライアントに対応することができるので、相談しやすい存在として信頼を得ることが可能です。前職での経験を生かすことで、たとえ年齢が高くとも会計士として活躍する道はあるのです。